社会保障の財源を誰が負担しているのか?

介祉塾の砂です。

 

先日、歯医者にて1時間ほど治療を受けていたら、ラジオにて政見放送が流れていました。

 

N○Kから国民を守る党の発表は笑ってしまいそうになるので、歯の治療を受けていた私にとっては危険でした(^^;

 

 

あまり政治ネタは書かない主義なので、どの政党の発表なのかはさておき、某女性議員が年金問題を政争の具とすることについて「野党は恥を知れ!」と威勢よく発言していました。

 

↓↓↓某女性議員↓↓↓

 

あ…、どの政党か分かりますね。

 

まぁ、それはさておき、あまりの内容の程度の低さに驚いたので、コラムで取り上げることにしました。

 

 

① 先ず某女性議員の驚く発言として「年金問題について解決策を出さない野党はどうなのか!」

 

そもそも年金制度って某女性議員の自○党が作ったのではなかった?

 

原因を作った側の人が、他人が批判したら解決策を出せと言い返すのは道理が通らない気がします。

 

もちろん野党も政治家の見識として解決策ぐらいの提示は期待されていると思いますがね。

 

 

② 次に驚く発言として「野党時代ではなしえなかった年金積立金の運用益により140兆円に増えた!」

 

リスク運用してるうえに含み益だし、もっというと年金問題を解決するための財源としては全く足りていないのに、なぜ吠えるのだろうか。

 

年金財政の試算では2005年時点から100年後に1兆円残る予定ですが、このままですと50年後には枯渇すると言われています。

 

 

③ もっとも恐ろしかった発言として、某女性議員の質問に応じて某首相が「年金を増やすために雇用も増えた!生産性が上がった!ア○ノミクスの成果です!」といったことです

 

伏字にしても分かりますね…(汗)

 

 

なにが恐ろしいかと言うと、年金問題の本質は年金世代がもらいすぎのため、現役世代が支払った分をもらえないという点にあるからです。

 

そのうえ、さらに現役世代の雇用創出分、生産性向上による増加分を年金に廻すと言うのだから、驚きです(呆)

 

 

というわけで、少し詳しく書きます。

 

さて、年金制度は世代間扶養によって成り立っています。

 

大雑把に言うと、いま働いている世代(現役世代)が毎月収めている保険料(給料から天引きされている金額)が高齢者(年金世代)にいま支払われており、現役世代が年金世代を養っている状態です。

 

しかも少子高齢化ですから、それでも足りないので赤字国債の発行により埋め合わせています。

 

平成30年度の国の社会保障費全体のことですが、国の財政負担は33.1兆円(一般会計の公債費とほぼ同額)になります。

 

 

ちなみに、社会保障費の支出において高齢者向けが70%以上(主に年金・医療・介護)を占めており、児童・家族向けが4%程度ととても少ないです。

 

それに対して、大半の収入は保険料と国・地方の財政負担なので、現役世代がかなり負担しています。

 

つまり、社会保障費を負担している人がリターンを得られていない状況だと言えます。

 

 

さて、そのような状況を個人で見るとどうなのでしょうか?

 

学習院大学の鈴木亘先生が厚生年金について試算した数字が参考になります。

 

大体1960年以降に生まれた人は損をするとされ、1980年代生まれの人の場合は約2,000万円の損をするとされ、これから生まれる世代は約4,000万円以上の損をするとされます。

 

これに対して、私の知っている100歳近いシニアの場合だと55歳から年金を受給していたようで、夫婦合わせた年金でマンションを購入されていました。

 

すごい格差がありますね。

 

 

もっとも、図に示した厚生労働省が発表している内容や毎年送られてくる年金特別便とは大分違います。

 

なぜでしょうか?

 

 

理由は厚生労働省HPにありました。

https://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/zaisei/04/04-16.html

 

↓↓↓まとめ↓↓↓

 

分かりやすく言うと、「年金は社会的扶養なのだから対価性を論ずるべきではない」「年金支給開始年齢が65歳に引きあがることは想定していなかったので、65歳未満のときにもらった年金は含めない」「事業主負担分は賃金から個人が支払った分ではないから含めない」ということです。

 

無茶苦茶です。

 

社会的扶養についてどれほどの根拠があるのか、支払い額と支給する額を比較するのに65歳未満の分を除外する根拠はないし、事業主負担分を除外するなら事業主負担分を徴収する根拠はないですからね。

 

おそらくこれを書いた人も無茶苦茶であることを承知のうえで書いているのだから、なおさら性質が悪いです。

 

 

ちなみにこのようなことは、ずっと前から分かっていました。

 

少子高齢化について、年少人口(15歳未満人口)は1950年代に減少してますし、1990年代には生産年齢人口(15以上65歳未満)も減少していますから、問題を先延ばししていただけです。

 

 

では、なぜこのような状況で自○党は年金を増額すると主張するのでしょうか?

 

ポイントはこのあとに控える消費税増税があります。

 

下記の資料は2014年に5%→8%へ増税した影響を試算したものです。

 

 

詳しくは書きませんが世帯年収が300万円の場合、約10万円以上の可処分所得の減少となりました。

 

つまり、今回の消費税増税についてもこのような可処分所得の減少を想定して、年金を増額することで影響を少なくしたいということです。

 

ますます現役世代に負担を押し付けることになります。

 

 

書いていて嫌な気分になってきますね(苦)

 

最後にちょっと話が逸れますが、65歳以上の人の介護保険料を上げることや介護保険利用者負担割合の増額について、「高齢者いじめ」だと批判する介護福祉職を割りと見かけます。

 

介護給付費の場合は第2号被保険者負担と公費負担とで約80%を占めており、年金よりも現役世代の負担が大きいです。

 

受益者である高齢者が負担することがなければ、介護職員の給料は低いままですし、介護福祉の仕事は奉仕になりますが、それでもいいのか少しは考えて欲しいと思います。

 

 

明日は参議院選挙です。

 

社会保険制度(医療・介護・福祉)に関わる仕事をしている若い人ほど、きちんと投票しないといけないと思いました。

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