高齢者住宅の価格競争の行き着く先

介祉塾の砂です。

 

最近は高齢者住宅が増えており、ますます顧客獲得の競争が厳しくなっています。

 

また特別養護老人ホームやグループホームも増えており、どれも似たり寄ったりのサービスを提供しています。

 

そして介護保険サービスは、法令により決まったサービスを提供することが求められているので、どうしても差別化が難しいです。

 

 

かつては高齢者住宅も少なく情報も少なかったので、積極的に差別化する必要はありませんでした。

 

しかし最近は高齢者住宅も増え、高齢者住宅の仲介業も増えているので、消費者も高齢者住宅を選ぶようになりました。

 

こうなると高齢者住宅は高価格帯にして高級感を出すか、逆に低価格帯で簡素にするか、どちらかの方向を選択することになります。

 

もっとも高価格帯でできるに越したことはないのですが、大抵は低価格帯を選択します。

 

なぜなら介護保険サービスの利用者負担は1~3割であり(所得によっては生活保護)、その他費用を合わせても裕福でなくても利用できるので、顧客層は年金生活を送っている人を中心として幅広いからです。

 

そしてサービスで差別化できないと、低価格競争をすることになります。

 

 

ところで低価格競争をするとどうなるのでしょうか?

 

 

これは、ある地域の2軒の八百屋の事例です。

 

Aは昔から八百屋を営んでおり、地産地消の商品を主に扱っていました。

 

そして近隣のスーパーなどの市価と比べて8掛け程度の価格で売っていたことや、国内生産の商品しか扱っていなかったこと、鮮度も良かったことで地元の顧客で繁盛していました。

 

Aは流通経路を絞ることで、販売価格を抑えることに成功していました。

 

 

ところが1年ほど前に、Bが200メートルほど離れたところで、同じような八百屋を始めました。

 

Bは訳あり野菜を中心に、市価と比べて半額以下で販売していました。

 

訳あり野菜は地元中心の野菜で、Aと商品内容はほとんど変わりませんでした。

 

Bは主婦層を中心に、地元の顧客を増やしていきました。

 

 

さて1年後に、AとBはどうなったのでしょうか?

 

先ずBがお店を閉めました。

 

Bは仕入値が安かったので、何とか単品ごとの利益を確保できたのですが、問題は必要な数量を販売できなかったことにありました。

 

訳あり野菜は、あまり多く流通していません。

 

農家としては、できる限り正価に近い価格で販売したいからです。

 

薄利多売のビジネスモデルは、経営規模が小さい場合は商品の回転率が相当早く数量を捌けることが必要で、大きな会社ほど有利です。

 

 

そして2ヶ月ほどして、Aもお店を閉めることになりました。

 

Bが近隣にできたことで顧客を取られ、販売数量が落ち込みました。

 

そして在庫が増えて鮮度が落ちたことで、さらに顧客が離れていったからです。

 

低価格競争の問題点は、販売数量だけでなく品質まで落ちると言うことです。

 

◆A八百屋(閉店後)◆

 

◆B八百屋(閉店後)◆

 

このように、低価格競争は体力の少ない企業にとっては致命的になります。

 

実は高齢者住宅についても、低価格帯の事業者が経営破綻に陥っているケースが増えています。

 

低価格競争によって品質の低下と顧客離れが進むことで、経営が悪化しているからです。

 

今後も経営環境は厳しくなると予測され、経営破綻する高齢者住宅が増える見込みです。

 

 

ではどのようにすれば、低価格競争を回避できるのでしょうか?

 

 

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