福祉用具貸与事業とコロナショック
介祉塾の砂です。
久々のブログ更新です (^^;
ここ最近はニュースにしてもSNSにしても、コロナウィルス対策の話題で持ちきりです。
そして介護業は多くの利用者と接触する仕事のため、感染症対策は不可欠であり、とても大きな関心ごとになります。
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ところで今回は感染症対策のお話ではなく、経済の側面から考えて見ます。
国内では学校や公共施設が閉鎖され、国外では一都市が封鎖されたり出入国制限されたり、人の移動が大幅に制限されることとなりました。
当り前のことですが人の移動が少なくなると、モノの移動も少なくなります。
今はインバウンド需要を見込んでいた観光業や飲食業などが不調ですが、これから消費財を中心に徐々に値上げ圧力が高まります。
特に海外からのサプライチェーン(供給網)が、遮断されることが大きいです。
もっとも介護事業は労働集約型産業であり国内限定産業なので、影響は少ないと思われます。
ただし福祉用具貸与事業は別です。
国内の福祉用具製造メーカーの大半は海外(主に中国)に製造委託をしており、国内の在庫が不足することになります。
そのため為替レート次第ですが、福祉用具貸与事業者の仕入価格も上がると考えられます。
福祉用具貸与事業者としては、福祉用具の貸与価格を引き上げることにより対応できればよいのですが、実際は難しいです。
理由としては、一般的には価格を引き上げると販売数が減るという関係があるからなのですが(需要の価格弾力性による)、それ以外に大きな理由があります。
2018年度介護報酬改定において、福祉用具の上限価格が導入されました。
上位16%程度を超える貸与価格については、介護保険対象外となるということです。
以前コラムにてお伝えしたように、前回の改正でもっとも厳しい内容となっています。
結果として、福祉用具貸与価格の値上げが難しくなりました。
どれぐらい平均貸与価格が下がったのか、厚生労働省によると「上限価格設定により、2018年10月分実績で4億5000万円強の介護費適正化(前年同月比」につながったとのことです。
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※ 介護給付費分科会資料(H31.3.14)
貸与価格総額の削減率で見た場合▲2.0%になります。
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※ 同上
「令和元年度介護事業経営概況調査結果の概要 」によると、福祉用具貸与事業の収支差率(2018年度決算)は4.2%ですが、2019年度は2018年度の介護報酬改定により低下していると言われています。
「福祉用具貸与価格の適正化に関する調査研究事業」によると、74.2%の福祉用具貸与事業者が「収益が減少した(減少する見込み)」と回答しています。
今回のコロナショックによって、売上や経費は変わらず原価だけが上がるわけですから、さらに収益が減少する可能性が高いです。
なお2019年度には、上限価格の見直しはありませんでした。
2020年度は新商品のみが対象となります。(介護保険最新情報・令和2年1月24日)
すると、影響は少ないように思われるかもしれません。
しかし旧来商品について、上限価格の見直しがないということは上限価格が下がらないということだけで、仕入価格の上昇により平均貸与価格が上昇しても、上限価格が上がることはないということです。
また新商品を導入し商品の品揃えを見直すことは、商品全体の粗利益を確保することにもつながります。
そのため新商品の上限価格が設定されることによって、事業者の利益確保が制約されるということです。
このように考えると、福祉用具貸与事業の経営環境は厳しいです。
では福祉用具貸与事業者は、どのように対応すべきでしょうか?
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