高齢者住宅の囲い込みと区分支給限度基準額 ①

介祉塾の砂です。

 

平成30年4月の介護報酬改定で同一建物減算がより厳しくなると言われています。

背景としては、一部高齢者住宅での利用者の囲い込みや過剰なサービス提供の問題があります。

 

ところで、私自身は利用者の囲い込みも過剰なサービス提供も当然に起こることだと考えています。

 

というのも、住宅型有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅(有料老人ホーム等)に介護事業所を併設すれば、利用者側も併設介護事業所からのサービスを期待します。

また、在宅で生活する場合より有料老人ホーム等の方が目が行き届きますし、利用者側もそれを期待するので、サービス提供量も増加します。

 

しかも、介護事業者が投資回収のために利益の最大化を目指すのは、経済的合理性に基づく判断によるものです。

すなわち、介護事業者が区分支給限度額まで利用するインセンティブがあります。

 

 

 

 

他方で、これを利用者の視点から見た場合には、自己負担が増えるより介護報酬で請求してもらう方がありがたいわけですから、介護事業者が有料老人ホーム等の部屋代や食事代などの自己負担を安く設定するのも当たり前です。

 

なお、大阪府などが独自に実施している低所得者層への家賃補助も自己負担を安くする誘因となっているとも思います。

 

 

つまり、介護事業者と利用者のニーズが(暗黙的に)合致した結果だとみるべきです。

 

私は、この問題に関して介護事業者に一方的な責任があるような論調にはあまり同意できません。

 

日本の福祉制度全般における受益者負担が少なすぎるがゆえに、介護事業者側と利用者側の双方に起こるモラルハザード(※)だと思います。

 

この問題の防止策を考えるのであれば、利用者負担割合を増やすことの方が効果的だと思います。

 

※モラルハザードについてはこちら(wikipedia)

 

次回は、同一建物減算の対策について

介祉塾

お気軽にお問い合わせ・ご質問ください

TEL:06-4795-7123

  • WEBフォーム