最新2018年度改正(生活機能向上連携加算)

介祉塾の砂です。

 

加算取得の判断基準として手間がどれだけ掛かるのかをきちんと検証する必要があるということで、前に褥瘡マネジメント加算について記事を書きました。

 

 

しかし、検証したうえでさらにどれだけ費用が掛かるかを、加算の収入増加分と比較し、利益が出るかをさらに見極める必要があります。

 

 

例えば、生活機能向上連携加算についてです。

 

以前は訪問介護しかなかったのですが、今回の改正で通所介護や特養、小規模多機能などに拡大されました。

 

 

以下の説明は通所介護や特養について。

 

生活機能向上連携加算 200単位/月

※ 個別機能訓練加算を算定している場合は100単位/月

 

大まかな加算要件は

 

① 外部(自法人グループ内を含む)リハビリ専門職と共同して

 

② アセスメント → 個別機能訓練計画作成 → 3カ月ごとに1回以上評価 → 必要に応じて見直し

 

することなのですが、割に合うのでしょうか?

 

 

※ 生活機能向上連携加算の要件

 

※ 平成 30 年度介護報酬改定に関する Q&A( Vol. 1)

 

自事業所の人員の配置がさらに必要になるわけではないので、ポイントは、外部リハビリ事業所に対する委託料が加算による介護報酬額と見合うのかなのでしょう。

 

 

この点、個別機能訓練加算を算定している事業所にとっては、加算が半額になるので委託料が割に合わない可能性が高いです。

法人グループ内に併設リハビリ事業所がある場合など有利な条件がある場合に(※)、加算取得を検討することになると思います。

 

※ Q&Aに「別法人からの連携の求めがあった場合には、積極的に応じるべきである」との記載があります。 逆手に読めば、「別法人に連携を求める必要はない」ということです。

 

また、小規模デイサービスのように利用者数が少ない場合にも委託料が割に合わない可能性が高いです。

 

 

そこで、例えば100床の特養について検討してみると約7~20万円/月の介護報酬の増加で委託料が見合うのか。

 

一般的な介護施設はどの程度の委託料を支払えばいいのでしょうか?

 

 

参考になる資料があります。

 

歯科医師との連携を要する口腔衛生管理体制加算と口腔衛生管理加算の算定回数の状況です。

 

※ 社保審-介護給付費分科会資料(第140回)

 

 

口腔衛生管理体制加算については、54.6%の受給者が算定しているのですが、口腔衛生管理加算については6.5%と算定している受給者が少ないです。

 

口腔衛生管理加算の算定状況が低い理由としては、歯科衛生士の配置状況が、特養(4.6%)、老健(10.8%)となっており、ほとんど配置できていないからです。

加算が割に合わないとして積極的に歯科衛生士を採用していない実状があります。

 

つまり、口腔衛生管理体制加算(30単位/月)と口腔衛生管理加算(旧110単位/月)では割に合わないとする介護施設が多数を占めているということからすると、外部連携を要する生活機能向上連携加算(100~200単位/月)についても同様と言えるのかもしれません。

 

 

外部の歯科医師との連携、歯科衛生士の委託料と外部リハビリ専門職の委託料はあまり変わらないでしょうから、生活機能向上連携加算の委託料も約7~20万円/月の介護報酬の増加では費用倒れすると考える介護施設が多いと推測されるからです。

 

 

なお、参考までに「平成29年4月審査分(介護給付費等実態調査)」によると訪問介護について、1月当たりの生活機能向上連携加算の算定状況は156件 と、とても少ないです。

 

訪問介護の場合は他のサービスと違って移動が伴うので(※)、あくまで参考程度ですが、それにしても少なすぎるように思います。

※ 今回の改正で訪問が不要な加算Ⅰが設けられました。

 

 

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