最新2018年度改正(福祉用具貸与と上限価格)
介祉塾の砂です。
福祉用具貸与の上限価格が設定されることになりました。
平成30年10月から+1標準偏差(上位16%程度)を超える貸与価格については介護保険対象外となります。
その他に、利用者に全国の平均貸与価格を説明すること
利用者に機能や価格帯の異なる代替品の提示をすること
福祉用具貸与計画書のケアマネジャーへの交付が義務付けられました。
※ 福祉用具貸与(改定事項の概要)
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おそらく今度の改正でもっとも影響が大きいと思います。
なぜなら、上限価格の設定以外の価格の低下要因の影響が大きく、利益の確保が難しくなるからです。
ちょっと話が逸れます。
ところで、価格の決め方には大別して3つあります。
① 原材料費、加工費、労務費などを積み立て、その上に利益を乗せて価格設定する考え方(コスト志向)
② 消費者がいくら払うかで価格設定する考え方(消費者志向)
③ 競合店の価格を参考に価格設定する考え方(競合志向)
今回の改正で大きく変わる点は、従来の福祉用具貸与価格の設定はどちらかというと①コスト志向であったのが、今後は③競合志向になるということです。
全国の平均貸与価格は、まさしく全競合の平均値だからです。
問題なのは、その平均貸与価格を利用者に言わなければならない点です。
一般的な商取引では、商品・サービス価格について積算根拠(原材料費・直接労務費・外注費など)を示してお客さまに納得してもらいます。
もちろん、そこには多少のごまかしがあります(ごまかし分は利益になります)。
しかし、今度の改正のように平均貸与価格を利用者に示すとなると、積算根拠の説明が難しくなります。
お客さまは客観的な相場価格を知るので、積算根拠を説明してもなかなか納得してもらえないからです。
例えば、大手家電量販店でアマゾンや価格コムのサイトを販売員に示すような場合を想像してみてください。
これよりもさらに厳しいということです。
実は、高い価格で取引するためにはお客さまが「本当の価格」を知らないというのが前提条件にあります。
知っていれば高い価格で取引することはほとんど無理だからです。
※ 詳しくは、リー・コールドウェル「価格の心理学」(日本実業出版社)
つまり、平均貸与価格を利用者に説明することで、価格の引き下げ圧力が働くということです。
さらに、代替品の提示が要求されるので、利幅の良くない安価な貸与品を利用者が選ぶ可能性も高まります。
しかも、それ以外にも価格の低下要因があります。
今回の改正によると、「平成31年度以降も、概ね1年に1回の頻度で見直しを行う」ということです。
見直しが行われることで平均価格が下がり、新たに上限価格が設定されます。
すると、新たな上限価格以上の貸与価格についてはさらに引き下げが必要になります。
図 1年後の平均価格
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こうなると、福祉用具の貸与価格の引き下げが毎年行われるようになります。
したがって、これからは福祉用具貸与事業において利益確保が難しくなり、事業継続が厳しくなるということです。
ところで、福祉用具貸与事業者はどのように対応すべきでしょうか。
典型的な回答であれば、商品そのものでの差別化は難しいので、付加サービス(メンテナンス、アフターフォローなど)で差別化し、価格の引き下げを避けるようにするということなのでしょう。
もしくは、仕入価格を抑えることで、一定の利幅を確保することでしょうか。
しかし、私は両方とも対策としては不十分な気がします。
付加サービスといってもそれほどバリエーションがあるわけではないですし、福祉用具の仕入は小ロット、中ロットなので、価格交渉にも限界があるからです(自社製造を除く)。
では、どうすればいいのでしょうか?
ご相談は介祉塾に。