川崎市老人ホーム転落死事件に思うこと
介祉塾の砂です。
久々に更新しました(笑)
さて、最近悲しい事件が起こりました。
川崎市の老人ホームにて3名の利用者さんが転落死した事件です。
当事者(加害者、運営会社、自治体)が非難されるべきことは言うまでもないことですが、
当事者を非難すれば解決する問題でもないと思います。
介護の現場では、普通の人間であれば到底耐えることのできないような暴言・暴力に遭遇します。
「人殺し!」「盗んだ!」「バカ!」といった暴言から、
介助中に引っ掻かれたり、殴られたり、硬い物で叩かれたりといった暴力まで。
そして、利用者さんの放便・食便・弄(ろう)便。
人手が足りなくて、ものすごく忙しいのに「やめてくれよ!」と目を覆いたくなるような現場。
精神病院であればできる対応(隔離・拘束など)もままならない。
医者・弁護士・司法書士などの、高い職業倫理があると思われている人たちでも、
耐えるのがしんどい現実があります。
これに対して、介護士だから耐えろとか、
よく分からない精神論を安易に専門職の職業倫理やプロフェッショナリズムに置き換えて、
介護士だけに高度な責任を負わせるような論調に疑問を思います。
施設勤務の介護士には資格がいらないのですよ!(笑)
介護士も人間です。耐えるためには、それ相応のフォローが必要なのです。
しかしながら
①2015年の報酬改定で、同一建物内のサービスについて介護保険給付費が一律10%減のため経営状況が厳しい。
②社会保険料も消費税も上がる、介護士の生活は苦しい。
③訪問診療の報酬減(同一建物での診療は2人目から約1/4に減少)で、医者が高齢者施設に住んでいる利用者さんをあまり訪問しなくなり、目が行き届かなくなった。
④労働供給量が不足しているのに、介護需要だけが伸びているため、慢性的な人手不足。
⑤介護給付費の抑制を目的とした自治体の実地指導・監査が厳しくなったため、末端まで忙しい。
⑥入院日数の短縮による、介護負担の増大。
医療行為は医療職の業務独占のため介護士には医療的ケアが原則としてできないのに、実際の介護現場では、重度の利用者さんが増えて介護士の負担も増えている。
今後ますます介護環境は厳しくなります。
今回のような事件もどんどん増えます。
この事件を一方的に非難する人たちは、もう少し福祉を優しく見て欲しいなと思いました。
介護の世界で頑張っている人たちに、もっと陽が当たるといいですね。
駄文失礼しましたm(__)m