最新2019年度介護保険改正-消費税増税と介護報酬改定への対策-

介祉塾の砂です。

 

久々に介護経営のネタになります (^-^;

 

 

今年の10月1日から消費税が8%から10%に変わります。

 

世間では軽減税率とキャッシュレスによるポイント還元が話題となっていて、あまり介護報酬改定が話題になっていませんね。

 

もっとも消費税増税に伴い介護報酬が0.39%引き上げられるので、利用者負担金もその分増えることになります。

 

※ 厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」

 

診療報酬も同様に上がるので、家計の介護費・医療費も消費税増税の影響を受けて家計を圧迫する要因となります。

 

 

では介護事業者は、単純に介護報酬が増えることを歓迎すればよいのでしょうか?

 

この点について説明します。

 

介護報酬が引き上げられる理由は、介護事業が非課税だからです。

 

これに対して一般的な業種の場合、消費税を納付することになります。

 

次の算式をご覧ください。

 

納付税額=(売上にかかる消費税額)-(仕入等にかかる消費税額)

 

しかし介護事業の場合、「売上にかかる消費税額」がないので「仕入等にかかる消費税額」を損することになります。

 

そのため消費税増税となると、「売上にかかる消費税額」がないので、「仕入等にかかる消費税額」が増えることになり、さらに損することになります。

 

そこで今回のように介護事業者が不利とならないよう、介護報酬を引き上げるということになります。

 

※ 厚生労働省「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」から

 

 

問題は介護報酬の増加分0.39%が「仕入等にかかる消費税額」に見合っているのかということです。

 

仮に介護事業による売上を100、人件費等(非課税)を60、仕入等(課税)が30、利益その他を10とします。

 

仕入等は8%課税されているので、もとの金額は27.7(≒30÷1.08)になります。

 

今回の増税分は27.7の2%(10%-8%)ですから0.55増加することになります。

 

そして介護報酬の増加は0.39(=100×0.39%)ですから、今回の介護報酬改定は実質的には減収(0.55>0.39)となります。

 

ちなみに、国が介護報酬を決定するに当たっては事業ごとに人件費比率を決めています。

 

それによると人件費比率は60~40%であり、その他の経費は大体は課税されているので、今回の消費税増税の減収分はもっと大きいと思われます。

 

※ 厚生労働省「地域区分の見直しについて」から

 

あくまで私の雑感ですが、今回の消費税増税によって0.3%程度の減収となるのではと思います。

 

 

では介護事業者は、どのような対応をすれば良いのでしょうか?

 

ポイントとしては介護保険の給付対象外のサービスについて、消費税増加分をきちんと利用者に負担してもらうということです。

 

つまり今回の介護報酬の引き上げ分は介護保険の給付対象サービスについてですから、それ以外の分については当然に請求できます。

 

例えば、デイサービス、デイケアなど(※)の食費は介護保険給付対象外です。

 

※ 特別養護老人ホームなどの場合は、低所得者について介護保険給付されます。基準費用額について、消費税増税により見直されました。

 

※ 厚生労働省パンフレットから

 

 

そして食費は非課税売上(※)です。

 

※ 有料老人ホームの食費は課税売上。1食640円・1日1,920円未満であれば軽減税率の対象。

 

なぜ非課税売上となるかと言えば厚生労働省のガイドライン(※)によって、利用者から「食事の提供に係る利用料は、食材料費及び調理に係る費用に相当する額」、つまり実費相当しか請求できないと決まっているからです。

 

居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針

 

実費相当分を全額負担してもらうだけなので、介護事業者は消費税分を得するわけではなく、消費税増税分を利用者に請求しても問題はないということです。

 

なお運営規程を変更することは忘れないようにしましょう。

 

 

なぜか、このことを厚生労働省や自治体はアナウンスしていないのですよね。

 

なるべく高齢者への負担を増やしたくないからなのだと思います。

 

ですが、介護事業者がこのような介護保険の給付対象外の費用を負担する理由はなく、きちんと利用者に負担してもらう必要があります。

 

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