胃ろうによる延命と介護 ②

介祉塾の砂です。

 

日本では胃ろう造設患者数50万人以上と言われています。

高齢化率の上昇とともに益々増えると推測されます。

 

ところで、介護に従事する人たちにとって延命策(胃ろうや点滴)をどのように捉えているのでしょうか?

 

ある特別養護老人ホームの施設長はやめてほしいと仰いました。

 

しかし、意思表明ができない入所者の場合(ほとんどの方はできません)、ご家族の意思が優先するので、施設側としては胃ろうの造設について否応なしに引き受けているとのことです。

 

もっとも、担当医にご家族の意思が変わるよう説明するようにそれとなくお願いしているとのことでした。

 

また、入所者への点滴〈人工栄養)を見ていると痛々しくて、心が痛むようです。

 

それだけでなく、身寄りのない入所者の場合、胃ろうを造設するかの判断はほとんどが施設長に委ねられるので、悩みつつも造設をお断りしているようです。

 

 

さて、一般的に介護職員は、胃ろうをどのように捉えているのでしょうか?

 

厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(平成26年3月)

 

医師や看護師、介護職員は大体90%以上が胃ろうを望まないと答えています。

対して、一般国民は80%程度です。

 

ほとんどの介護職員が望まない治療を利用者に行っていることになります。

 

また、大抵は寝たきりなので、現場の負担も増えます。

 

さらに、意識のある利用者の場合、かすれた声で「死にたい」と介護職員に言うことがあるので、介護職員にとって精神的な負担になります。

 

このように、胃ろうの是非はさておき、介護現場にとって胃ろうの利用者は負担が大きいのです(※)。

 

私は、少なくとも介護職員のメンタルヘルス・ケアは必要だと思います。

 

※医療の場合、胃ろうにより保険点数が増える仕組みがありますので、経営上のメリットがあります。

 

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