介護と技術革新- ケアプランのAI化 ④-

介祉塾の砂です。

 

ところで、ケアプランのAIは使われるのでしょうか?

 

結論から言うと、使う人と使わない人と非常に分かれると思います。

 

 

 

ケアプランのAI化の目的は自立支援であり、前回説明した①ケアプラン作成の代行に近い立場です。

 

入力する利用者情報は要介護認定等で扱われる身体機能の情報等になります。

 

分かりやすく言うと、ケアプランが先に作成され、それに沿って関係機関との連絡調整を行うイメージです。

 

ケアプラン(原案)の段階でほぼ確定しており、サービス担当者会議などの情報は補足的なものとして位置づけられます。

 

このようなAI化の背景には、利用者に適正なサービスが提供されていないと懸念されていることやサービス担当者会議などが形骸化していることがあります。

 

 

しかしながら、実際のケアプランは利用者の考え、家族の意向、介護事業者や病院の都合、自社の利益、ケアマネジャーの交渉力などに大きく左右されます。

 

現実は、ケアプラン(原案)をもとに関係機関との連絡調整をして、ケアプランを確定します。

 

ケアプランの表面上からはそういったことは分からないのですが、外的要因に大きく左右されます。

 

根回しが基本ですからね。

機械より人間が得意とする分野です。

 

ケアプランが適正になりにくいのも、サービス担当者会議が形骸化してしまうのも、ケアプラン作成に時間がかかるのも、定型的な業務でないからです。

 

つまり、ケアプランのAIはケアマネジャーの業務プロセスに沿っていないのです。

 

もちろん、その場合でも補助的には利用できます。

 

 

しかし、それ以外に問題点があります。

 

自立支援(≒介護給付費の削減)を目的としているので、ケアプランのAI利用は収入が下がるのでディスインセンティブが働くようにも思います。

 

政府内では加算と結びつける動きもありますが(※)、AIが出したケアプランのサービス内容・量と実際のケアプランのサービス内容・量に隔たりがある場合に問題視されるなら、始めからAIを使わないという選択肢が合理的です。

 

つまり、加算取得をコストと見れば、リターンが十分に見込めるからです。

 

※ 最近、政府会議の中でも医療と介護のAI利用と加算を結び付ける動きがありますが、AIを利用することで過剰診療・介護を防止する意図があります。

しかし、医療のAI利用はすでに行われていますが、医療のAIは医療費の削減を目的としているわけではなく、医療に対する信頼の上に成り立っています。

ケアマネジャーにはケアプランを適切につくるための役割が期待されているのに、AIをそのような意図で導入を促すのは資格制度の意義を失うものです。

過剰診療・介護を問題視するのであれば、社会保険が世代間扶養を前提としている以上、受益者側に負担を求めるべきだと思いますけどね。

 

 

まあ、いろいろ考えてみると難しいです。

 

ただ、AIが作ったケアプランは自立支援に沿ったプランになります。

 

それを使いこなせるかは人間次第ということなのだと思います。

 

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